「郵政民営化に賛成する人を内閣改造、役員人事で考える」小泉首相の踏み絵発言に、自民党内は大揺れです。先の参院選での敗北で、その求心力はますます弱まっています。「改革の小泉」だけを叫んでいた頃とは雲泥の差です。道路公団改革でも「ムダな高速道路は作らない」と豪語しながら、結局はあやふやな改革で世論の支持を失いました。郵政民営化でもどんな改革になるのか、その道すじはまったく見えていません。
そもそも郵政民営化は、小泉改革の本丸です。まず、民営化への方針を取りまとめ、9月には改革のための担当大臣を任命。来年1月には郵政民営化法案を国会に提出。そして3年後の2007年民営化をスタートさせることが改革の基本です。このスケジュールの中で改革論議が進んでいますが、自民党内は決して一枚岩ではなさそう。民営化への関心が10%にも届かないことも、抵抗勢力の反撃を許しているのです。「郵便局のネットワークは崩すべきではない」、「国が保障する貯金が失くなり困るのは国民だ」など郵政族議員は声が大きい。党内への説明責任を果たしてこなかったツケが回ってきたのです。
金融業界の再編で、巨大銀行が誕生しています。だからといって郵便局を日本一の金融機関にさせ、官僚たちのおいしい天下り先にさせることは納得がいきません。民営化といっても、官僚の権限や指導から完全に離れるわけではありません。
全公務員の4分の1、28万人もの郵政公社職員の身分も決まっていません。民営化のかけ声だけがあっても、具体的なビジョンはまったく見えてこないのです。
いま、小泉首相は丸投げの改革をヤメ、自らの言葉で改革を語るリーダーシップを発揮しなければ「郵政民営化」は絶対に実現しないのではないでしょうか。
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