耐震強度偽装事件で、このほど不作為の詐欺と建設業法違反で木村建設元社長に懲役3年、執行猶予5年の有罪判決が下りました。2005年11月、国土交通省が偽装公表以来、この事件は大きな社会問題となりました。すでに中心人物として姉歯元一級建築士には懲役5年の実刑判決が下り(控訴中)、今回初めて業者側に詐欺罪が適用されました。あとはヒューザー元社長の小嶋被告のみです。この事件は単なる業者たちがつくりあげた詐欺事件なのでしょうか。
確認検査機関による安易な検査システムを実行したとしてイーホームズの藤田社長は逮捕されました。しかし、立件されたのは「電磁的公正証書原本不実記録罪」です。国土交通省に最初に報告したのはイーホームズです。そもそも認定プログラムによる構造計算書ソフトは建築確認を官から民に移行する時に、お役人たちが作ったもの。国土交通省はイーホームズや設計事務所、姉歯被告だけに責任をすべて押しつけようとしたところが大問題です。建築確認制度の問題はまったく論議がされていません。検査機関の見落としは、イーホームズだけではありません。すでに藤田社長に責任をおしつけたことでこの構図は破綻しています。
連日マスコミに登場していたあのヒューザーの小嶋社長と伊藤公介自民党代議士との癒着。さらには伊藤代議士に続く安倍事務所との関係はウヤムヤ。また、アパグループや総研のビジネスホテルの偽装も次々と発覚しながら、お役所は真相にフタをしめようとヤッキになっていました。姉歯被告一人だけが全て悪いわけがありません。行政側の不手際に国民の目が向けられないように悪徳業者をつくるだけでは、耐震強度偽装事件は解決しないのです。
これからヒューザーの小嶋被告にも判決が下り、販売業者の二人だけが詐欺罪で有罪になっても国民は納得がいきません。検査機関は責任なし、行政側の責任もまったくなしでは安心して住むことができません。中越沖地震で柏崎刈羽原発の危険性をオープンしない行政側の報道姿勢と同様に、耐震強度偽装事件でも行政側のインペイ体質は問題が多すぎます。社会保険庁の年金記録5000万件消失事件でも、インペイ体質が問題化しました。こうした行政側のインペイ体質の改革は急務です。トップリーダーが責任をとらないから、こんな偽装事件がヤミの中に押し込められるのでしょうか。無責任な官僚政治はいますぐ改革すべきです。
この度の参議院選挙で民主党が過半数を確保しました。自民・公明が衆議院で圧倒的多数であっても参議院で否決されればその法律案は可決されません。今回の勝利は自民党政治と官僚政治に対する国民の怒りでしょう。私は以前から無責任政治を改革すべきと訴えてまいりました。誰も責任をとらないこのような結果を招いているのです。
最近のコメント