参議院選挙は自民党の歴史的惨敗で与野党が逆転しました。年金、格差、政治とカネの問題、閣僚の非常識な発言への国民の怒りは、民主党躍進の原動力となったのです。特に1人区では23勝6敗、比例区では23,256,242票を獲得、自民比例票は16,544,696票、実に6,711,546票もの大差となりました。55年体制以降、自民党が参議院では一貫して独占してきた第一党の座は崩れ、安倍首相への退陣要求はますます強まっています。安倍首相はすべての結果が出る前に、続投宣言のフライングをしてさらに大きな批判を浴びる結果となりました。
今回の自民党敗因をまったく理解していない安倍首相です。「年金の説明が足りない」「成長経済を十分PRできない」「政策実績が浸透しない」など言い訳の敗因分析です。小泉偽装改革の実態を理解することなく地域格差の問題を先送りさせたり、圧倒的な衆議院の議席の上に強行採決を繰り返してきた傲慢政治は、2世、3世議員たちのヤンチャ内閣とみられてしまっていたのです。政治とカネの問題では、佐田、松岡大臣に続き、赤城大臣にまで事務所費問題が浮上。さらに柳沢、久間、麻生大臣らの失言も安倍内閣のお坊ちゃま内閣の限界を露呈させるものでした。
自民党組織は制度疲労の上に、集票マシンはさびついてしまっています。東京選挙区では党組織を基盤にした保坂候補が敗れたり、比例区では日本医師会のドン武見候補が落選。公明党も埼玉、神奈川、愛知3県で公認候補が民主2議席の大波に飲まれて沈没。自公で2議席をめざした与党の選挙戦略は不調に終わってしまいました。そもそも衆議院選挙で自民党候補が公明党の支援を受け、比例区の公明党に自らの票を回している現実に自民党員の強い反発があります。安倍首相は末端組織の実情をまったく判っていないのです。まさに「票の麻薬」を打ってしまった自民党組織の体は病んでいるのです。小選挙区制という選挙制度を改革しながら、党組織改革をすすめないツケが今回の惨敗ではないでしょうか。ポスター1枚も自ら貼ることのない2世、3世の人には汗を流している組織人の苦労はとても理解できない制度疲労です。民意が理解できないうえに、そのまま地盤の上に乗っている御家大事の江戸時代の政治と同じです。
安倍続投は無責任政治の続行です。政権を選ぶ選挙でないと強弁しても安倍首相NOの国民の意思表示は明確です。参議院の混乱はいったい誰が責任を負うのでしょうか。小泉偽装改革の是正を最優先にしなければ、国民の怒りは収まりません。美しい国づくりや強引な国会運営で国民投票法や教育改革ごっこをすすめても、本当に国民が望んでいるのか分かりません。いまや都市で集めた税金を族議員たちが公共事業を通じて地方に再配分するシステムが崩れています。だからこそこのシステムの恩恵をうけてきた松岡大臣の談合疑惑にフタをしてしまいました。地域が疲弊しているのに、放置してきた安倍首相がさらに無責任政治を続行するなら解散総選挙で本当の不信任をつきつけることが必要ではないでしょうか。すべて官僚まかせの自民党政治の終焉が近づいてきたと思います。
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