内閣支持率20%台前半に落ち込んだ安倍晋三内閣は、このほど第二次改造内閣を発表しました。しかし、改造後1週間も経たないうちに、遠藤農水大臣は補助金不正請求事件で辞任してしまうおそまつ改造劇でした。5期以上の自民党議員は誰を大臣にしても、いわゆる身体検査に引っかかるのでしょうか。参議院選挙での大敗を喫しながら、居座りを続ける安倍首相は、お友達内閣を解消。こんどは賞味期限の切れた人たちを寄せ集めた偽装内閣を売り出してきました。人心一新を掲げてもトップが変わらない、まさに人心一新偽装です。二世、三世議員を多数登用したり、大学のサークル活動のようにお坊ちゃまを持ち上げてくれる仲間ばかりを周辺に配置したことが空気がよめない内閣として批判を浴びてきたことから今回の改造となりました。「美しい国づくり」とは程遠い内閣です。
改造内閣では、谷垣派を除くほぼ全ての派閥の代表、幹部クラスが入閣。このため新人は7人です。安倍政権への批判をおさえるとともに、政治とカネ、スキャンダルをおそれ無難な人を選んだようですが、すでに額賀財務大臣に問題が発覚。舛添厚生労働大臣起用のように、安倍批判を封じ込める策略はミエミエ。評論家大臣が実績を残したためしがありません。また増田総務大臣のように地方格差解消をアピールしようとしても、国民にはピンとこない人事です。にんじんを目の前にぶらさげられて食べてしまった人では、サプライズや期待感がおこるはずがありません。清新さも消え、単なる育ちの良い安倍晋三を守ることだけに腐心している古い自民党の復活です。これは総理大臣経験者を親族に持つ3家族が政権にしがみつく自民党を守るための内閣改造なのです。
与謝野官房長官、石原党政調会長の就任で、東京出身の2人が要職に就くことは「地方切捨て」という自民党幹部まであらわれました。適材適所を繰り返す内閣人事ですが、出身派閥だけでなく、出身選挙区まで問題視するほど自民党は病んでいるのです。天下り禁止、官僚政治反対を叫んでも、実態は官僚天国である偽装改革であることは明白です。私は政治理念として「官僚政治の打破」を訴え続けているだけに、改造内閣はポーズに過ぎないと断言できます。偽装戦後レジームからの脱却を掲げながら、今回は何のメッセージも訴えることのできない内閣になってしまいました。だからこそ、参議院自民党無視の人事とか、みんなに断られていた農水大臣ポストのたたりなど、どんなことにもケチをつける雰囲気が党内に生まれてしまっているのです。
今回の組閣は二転三転した人事でした。官房長官、総務大臣、首相補佐官体制の解散、森元首相との連携で福田・谷垣はずしなど、決して指導力を十分発揮したとはいえません。各派の幹部を重用したことで安倍さん本人の姿がかすんでしまいました。改革続行を宣言しても、何の改革をするのかさっぱり分かりません。農水大臣にまわってこなければ良いと発言していた遠藤大臣は過去2人の大臣と同じように辞任を余儀なくされました。族議員の典型である補助金分捕りの最前線にいたのです。古い自民党体質人事をすすめたことで、安倍改造内閣は首相の顔が消えてしまいました。こんな派閥人事なら、安倍さんが首相でなくても麻生さん、谷垣さんがなっても同じです。それほど新内閣のメッセージが伝わらない安倍偽装内閣の誕生です。
「戦後レジームからの脱却」は、まず自民党政権を終わりにすることにあると安倍首相は気づいていないことが問題です。
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