守屋武昌前防衛省事務次官と防衛商社との不適切な関係が明るみになりました。永年の自民党政権によるしがらみ政治の典型的な事件です。権力が永く続くことで、族議員による防衛利権漁りをはじめ、業界、官僚、政治家とのしがらみ政治の構造がつくられ、巨大な利権争いが繰り広げられていたのです。今回、業者内の内紛によってこの内部事情が明るみに出てしまいました。これまでも納入業者との問題が指摘されてきましたが、官僚トップが業者とこんな関係を続けていたのですから、倫理規定などチャンチャラおかしなもの。業者とズブズブの関係は防衛省に限らず、道路公団と国土交通省、製薬会社と厚生労働省など、さまざまな官僚機構に問題があることが浮き彫りになっています。
問題の山田洋行は、年商340億円の大部分である航空機部品を随意契約で防衛省に納入し、莫大な利益をあげていた会社です。この会社内で新たに独立した会社をつくり、いままでの米国企業との代理店契約をおこなったことが事件の発端です。防衛商社としては売り上げの全てを失ってしまうわけですから、破れかぶれの告発となりました。業者と官僚の癒着ばかりでなく、証人喚問では自民党大臣経験者の関与も明らかにされました。さらにこの守屋前次官は、業者との癒着ばかりでなく、海上自衛隊補給艦の給油量偽装にかかわっていたり、沖縄問題では普天間基地施設の移転利権にからんでいたり、偽装だらけのよう。いよいよ、前次官一人だけでなく、自民党の族議員たちもあぶり出されてくる気配です。
200回を超えるゴルフ接待、賭けマージャン、カラオケ、旅行、娘の留学サポートなどなど業者との不適切な関係が次々と明らかになりました。しかし、ストレス解消のためにゴルフなどと言い訳をしても、日本の防衛産業と自民党政権のしがらみは明らかになっていません。いま自民党は「事務次官と業者」という、単なる2人だけの不適切な関係だけに終わらせようと必死です。耐震偽装問題と同じように自民党議員による証人への質問は演説風、追及とか究明とか関係なく、ひたすら割り当て時間を消化させることばかり。これでは族議員政治、しがらみ政治の改革などできるはずがありません。個人の問題にすり替えるのではなく、しがらみ政治の実態を明らかにすることが大事ではないでしょうか。
今回の証人喚問は、7月の参議院選挙で与野党逆転を果たしたことから実現できたもの。自公で衆参両院で多数を占めていたら実現できたでしょうか。新テロ特措法もそのまま継続できたはず。こんな国会状況を知りながら安倍首相の突然の辞任、守屋問題での国会空白はいずれも自公政権の責任です。テロ特措法が大事と強弁するなら、自らの課題を解決することが先決です。小泉元首相も安倍前首相もこの「防衛省の天皇」を見抜けなかった監督責任が問われます。こんなことなら守屋前次官の進言に応えて防衛省を庁から省に昇格させることはなかったのです。防衛産業と自民党の癒着の構造の徹底追及が求められています。参議院の政権交代だけでも、しがらみ政治改革は着実に前進しています。族議員政治打破は、政権交代によって実現できるのです。
官僚のトップが税金を懐に入れているようでは、増税などもってのほかです。
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