舛添要一厚生労働相は、このほど消えた年金問題で、2008年3月までに照合を完了し、最後の一人、1円まで支払うという公約を事実上撤回しました。参院選で自民党は「1年間ですべて突き合わせする」「記録をすべてチェックし、正しくきっちりと年金をお支払いする」などと繰り返し訴えていました。舛添大臣も自ら厳しく年金問題を追及し、不正を許さない姿勢でしたが、これで単なるみせかけの演出であったことが明確になりました。国民の怒りをそのまま大臣は口にしていただけで、担当大臣として問題解決へのリーダーシップはなんら発揮できなかったのです。テレビの前で年金不信を国民の側に立って発言していただけのタレントであり、年金不信を解決する政治家ではなかったのです。
社会保険庁は、消えた年金といわれている5000万件を超える年金記録のうち、約4割の持ち主が特定できず、さらに約2割は特定がきわめて困難とする調査結果を12月11日に発表しました。5095万件のうち今後さらに解明が必要とされた1975万件は、漢字カナ変換、転記ミスなどが考えられますが、いずれも社会保険庁のミスは明白です。年金を納めた国民に責任があるわけではなく、担当の舛添大臣に責任があり、厚生労働省が事実解明を行うべきもの。「これほどひどいとは想定外」「最後の一人、最後の1円はエンドレスの作業」など開き直られてしまったのでは、国民はたまったものではありません。開き直りでは国民の納めた年金は戻ってきません。
これでは国民は自公政権で来年3月までに年金問題は解決すると思いこみ、思いこんだ国民が悪いと言っているよう。まるで但馬牛と思って食べた国民が悪く、産地偽装した業者には責任がないようにも見えてくる言い訳です。社会保険庁のずさんさは、国民は分かっていたのに「3月まで解決する」と参院選で勝手に公約したのです。公約達成が無理なら、まず国民に謝罪することが先決ですが、ばら色の夢だけを見させた舛添大臣の年金偽装は姑息です。テレビの前で社会保険庁の不正や怠慢に怒りを見せたり、薬害問題でも被害者に理解を示す演出もいまや色あせています。消えた年金は全て社会保険庁、厚生労働省に責任があります。年金を払い続けた国民には一切責任がないことは明白です。
「他の大臣がやっても同じ」などと強弁すること自体、舛添大臣の無責任さを浮き彫りにしています。来年3月になっても大量の未統合記録が残ることが確実になっても、流行語大賞である「消えた年金」に選ばれればのこのこと出て行くなんて、責任者としての自覚はまったくありません。政治家の言葉の軽さの典型です。
国民の納めたお金を正しく管理できる政府をつくらなければ、国民の信頼は取り戻せません。自分だけが目立つような言動を繰り返すのではなく、全ての国会議員が年金問題に取り組むことを考えていくことが大切ではないでしょうか。
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