東京都が3年前1000億円もの巨費を投じた新銀行東京が経営難に陥っています。石原慎太郎都知事の2期目の公約として誕生した自治体が投資した銀行は開業から3年ではやくも破綻寸前です。東京都はこのままでは破綻してしまうからと400億円もの増資を求めていることが大問題に発展しています。「ほかの銀行が逆立ちしても、できないことをやる」と石原都知事は3年前、胸を張りました。そして他の銀行では考えられない過剰融資を展開してきました。これでは他の銀行がマネできるはずがありません。お金が失くなれば預金を集めるのではなく、税金から引き出そうという発想です。民間では逆立ちしても不可能です。
内部調査の報告書では、暴走経営の責任は「初代の経営トップにあり」と指摘しています。トヨタ自動車出身で、銀行経営の経験がない人物を新銀行のトップに任命したのは石原都知事です。この無責任経営が経営難になったと語り「私が社長なら、もっと大きな銀行にしていますよ」と居直っています。経営陣の責任だけで、新銀行東京がわずか3年で破綻に追い込まれるというのでしょうか。開き直りでは都民が納得するはずもありません。1000億円も出資しながら、東京都は新銀行東京の状況を把握できないなんて常識では考えられません。
もし、銀行をつぶせば預金保護法によるペイオフが発動され、保護されない人が大量に出てくると脅かしています。しかし、そもそも他の銀行よりも数倍も高い金利で預金をかき集めておきながら、まともな銀行経営ができなかったから銀行をつぶせないなんておかしな論理です。「東京都が出資した銀行は大丈夫」「金利は高い」などと吹聴し、倒産が予想される企業に貸し出していたのでは、まともな銀行経営が成り立つはずもありません。都民の大切なお金を使って中小企業の味方を演出する石原都知事の策謀がみえてくるようです。
新銀行東京によってたくさんの中小企業が助かっていると石原都知事は語っています。しかし、他の銀行ではとても融資できない状況の企業に無担保、無保証で貸し出せば、助けられる企業も生まれます。だからといってこんな無責任な銀行経営が許されるものではありません。放漫経営の責任を旧経営陣になすりつけ、さらに400億円もの増資を要請するなんてあまりにも無責任。銀行というよりも、1000億円の税金を分配して企業を助けてあげれば済んだものです。石原都知事の選挙公約を実現するために、さらに400億円増資など出てきません。昨年の都知事選挙では2年で経営を立て直すと言いながら、1年で破綻寸前。これでは旧経営陣の隠蔽体質が全ての責任なんて誰も思いません。石原都知事の無責任さが新銀行東京を破綻に導いたのではないでしょうか。石原都知事に責任があるのは当然ですが、どの金融機関も相手にしなかった企業に無担保・無保証で融資する訳ですから損失が出るのは当たり前です。都議会にも放置した責任があります。都民にすれば、なぜだろうと思うのが当然であり、税金を投入するのであれば、それを認めた都議会も反省すべきです。
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