ガソリンは安くなりました。ガソリン税の暫定税率が廃止され、1リットル当たり25.1円の上乗せ税率がなくなり、価格が下がったのです。昨年の参議院選挙で与野党逆転を実現した国会での初めての成果です。34年前に、道路が整備されないために、緊急に道路を造らなければならないとの理由から、本来の税率にさらに上乗せしたものが延々と続いてきたもの。平成20年3月31日でこの法律がなくなることを福田首相は十分に知りながら、この1週間で右往左往してリーダーシップを演出しても首相のリーダーシップは1日にして生まれるものではありません。まして法律案が従来通り衆議院で可決、参議院でも可決の時代が終わったことを政府も与党も認識が足りなかったことが見通しを誤らせました。ガソリン税だけでなく、日銀総裁人事にしてもそうです。相変わらず官僚の中からの人選であったために民主党は否定したのです。
福田首相は、暫定税率が切れる直前、直接国民に道路特定財源の09年度一般財源化などを発表しました。小泉元首相が2月頃からさかんに首相のリーダーシップを促していたのに、直前の提案では、何の成果も挙げられません。昨年7月の参議院選挙の大敗から、今日の事態は想定され、安倍さんまで辞任してしまう難しい問題なのに「最後まであきらめない」とこの時期での行動に、国民の理解はまったくえられません。さらには「小沢さんから連立の話が出た」などと、公然と民主党批判に触れ、その会合の仲介者の存在も明かさない発言に政治家としての信頼感はますます薄くなっています。
3月31日は暫定税率ばかりでなく年金記録の照合問題の期限でもあるのに、福田首相は、ガソリンが下がれば国民も地方も大混乱を起こすなどと不安ばかりをあおっています。道路の補修や建設資金は毎年まわってくるから実施しているようなものです。しがらみ政治のひとつではないでしょうか。これでは、年金問題や食の安全を真正面からとらえない手法かと疑ってしまいます。日銀総裁人事にしても、福井前総裁が怪しげなファンドで個人資産を増やそうとした人物で、その時点で世界中から笑われ、信頼を失っていたわけです。そういった人を平気で任命していたことを考えれば、「総裁が決まらず世界の信頼を損なう」とは詭弁でしかありません。「特定財源死守」「道路が造れなくなる」「財源に穴があく」などと不安をあおっても、すでにこんな脅しは通用しません。自民党は何度こんな手段で国民を欺いてきたのでしょうか。
福田首相は一般財源化への道筋は認めても、暫定税率の廃止は認めていません。「国民生活が第一」を考えれば、減税効果や各世帯の可処分所得の増加という廃止のプラス面は当然です。いまや官僚優先政治が行き詰まり、年金も医療も食の安全も大きな社会問題となっており、国の借金はますます天文学的数字に膨れあがって、日本が破産しようとしているのに福田首相は無策のままです。国民や消費者の立場に立った政治を考えれば、ガソリンが安いのはみんなが幸せになれるのです。
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