「決断しなくてはいけない大事な時期だ」と消費税率の引き上げともされる発言をした福田首相に、国民の大きな怒りが集中しています。いつもの政府の手です。小沢民主党代表は「ムダ遣いの一掃が先だ」とすぐさま反撃しているのは当然ですが、与党の中からも「これでは次の総選挙で惨敗してしまう」と大ブーイング。国民の理解を得なくてはならない税率引き上げをいつものように飄々と口にしてしまった福田さん。いま大問題になってもまるで他人事。増税による国民の痛みなどまったく理解できていないのです。まずは官僚内部の改革が先決です。
福田首相は、社会保障費が増大することに対し、財源不足を消費税アップで充当しようとしています。昨年の参議院選挙で負けたので今発表したのでしょう。自民党内には2010年代半ばをメドに少なくとも消費税率10%程度にすることで財政悪化を防ごうという勢力も存在しています。お金がなければ増税をして埋めれば良いのは誰でもわかっています。昔から財政が苦しくなれば民から税を取り立てることで国を維持してきた歴史があります。福田首相も増え続ける医療、福祉、年金などの財源が少なくなるから、消費税率を上げて対応しようと考えているようです。それだけではありません。社会保険庁の未払い分を消費税の値上げでまかなうつもりです。政治責任まで国民に押しつけるつもりなのでしょうか。
さらに道路特定財源の一般財源化に反対する与党内の勢力は、一般財源化になればかつてのように自由の道路に使えなくなることを恐れています。道路整備に予算がまわってこなくなるから消費税率の引き上げには目をつぶろうとしています。年末に向けて税制の抜本的改正に間に合わせようと企んでいるのです。福田首相は独自の施策を展開したいから、たくさんの財源を必要としているのか、単なる安易な数合わせなのか不透明。だからといって痛みをともなう改革を国民にばかり負担させることは絶対に許されるものではありません。
年金偽装、道路偽装などお役人のムダ遣いをなくすこと、国会議員自らの特権を直すことなく、国民にばかり痛みを押しつけるなんでメチャクチャです。天下り先のお金がなくなるから増税で生き延びようなんてまさに官僚政治の維持を目的とした特定財源になってしまいます。もっと言えば「官僚天下りとムダ遣いの特定財源」です。居酒屋タクシーの是正などという話で行政のムダをなくすと反省の色をみせても、天下り、談合、族議員政治の本丸に改革のメスを入れなければなりません。姑息な手法で本丸を守ろうという官僚たちの狡賢さは明白。増え続ける社会保障費の財源不足は増税で埋めるなどという発想は、国民の側より官僚の側に立った発想なのです。
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