北京を訪問している高村外相は、中国外相と会談し中国製冷凍ギョウザによる中毒事件は、両国捜査当局が協力して真相究明をすすめていく方針を8月17日確認しました。福田首相は、消費者視点の政治を掲げながら、中国当局から報告のあった中国国内での中毒事件発生を1ヶ月も放置してきたことから、やっと両国が協力して問題解決をめざすことになりました。しかし河北省衛生庁衛生監督局は、天洋食品のギョウザは「すべて廃棄してある」とし、国内で流通していることに疑問を投げかけるなどいまだ不透明です。 そもそも日本と同じく天洋食品のギョウザは6月中旬、中国国内で中毒事件をおこしました。しかしサミットやオリンピックを前に事件を公表しなかった福田首相の責任は重大です。消費者重視ではなく、選挙重視の姿勢は明確です。これまで「中国で流入した可能性は低い」との中国当局の姿勢でしたが、不利な事実を中国側は認めながら福田首相は捜査に支障をきたすからと公表にストップをかけました。外務省は8月6日に、6月に中国国内でギョウザによる中毒事件が発生したことを明らかにしました。どんな状況なのかまったく国民には知らせず、少しずつ公表していく福田首相は、まさに官僚による情報操作の典型です。 また、太田農水相はNHK番組で「日本国内では心配しなくていいと思っているが、消費者がやかましいからさらに徹底していく」と発言。中国ギョウザ事件を踏まえ食の安全への取り組みは、消費者からの要求に応えていくことを表明しました。これはかつて「レイプする人はまだ元気があるからいい」と質の悪いジョークを飛ばした早大生の強姦事件と同様の不適切発言です。消費者の側に立たない大臣がいることを福田内閣では暗示しているよう。食の安全には徹底して取り組むことが求められていることへのサボタージュをしている太田農水相ではないでしょうか。彼を任命した根拠が理解できません。 社会主義国と違って自由主義国は消費者が正当にものが言えると弁明しても、福田首相は「余り適切な発言ではない」と苦虫に。日本語を正しく使えない大臣うんぬんの問題よりも、公表をストップしてきた福田首相本人が問題です。日本のマスコミのすっぱ抜きに中国側は抗議することなくあっさりと事実関係を認めています。日本人の中国食品離れは事件の真相究明も行わず公表しないようあいまいにしてきた福田政権にその責任があります。福田首相自らが消費者からの不信を招いてきたからです。本モノの消費者重視の視点に立てば、まず食の安全を守ることがサミットやオリンピックの成功よりも最優先されるべきものです。このような食糧危機を20年前から予測していたにもかかわらず、放置した政府の責任は重いのではないでしょうか。これはまさに役人政治の結果であり、補助金漬けの自民党農政がもたらした結果です。中国産はダメ、何産はダメと言うのは簡単です。では不足分の調達をどうするかなど、前向きな議論のない点が同じ失敗を繰り返す元だと政府は思い知るべきです。
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