この原稿を書いている時に福田総理が辞任するニュースが入ってきました。安倍内閣に続いて1年に2度です。しかも福田総理が自分で決断して発足した新内閣が8月です。総理の会見を聞いていると民主党が悪者のように発言していますが、野党は権力に対して正しい反論をするのは当然のことです。野党がいつも政府に対して賛成ばかりなんてあり得ません。それこそ民主主義を理解していない発言です。野党も国民の選挙で選ばれるわけで、ねじれ現象ではありません。60年間単独政権ですから自民党内がまとまれば何でも出来た時が一番いい政治だと思っているのでしょう。
「小沢氏は、私のことを一番嫌っている」と公言していた民主党渡辺秀央議員が離党し、新党を起ち上げることになりました。小沢一郎代表の党運営を批判し、参議院を良識の府に取りもどすと、ねじれ国会の解消を訴えています。しかし、小沢さんが嫌いだからといって、投票してくれた民主党支持者にはどう言い訳するのでしょうか。渡辺、大江両氏は参議院では比例代表選出議員であり、個人票よりもより多くの民主党支持者が当選させてきたことをまるっきり忘れてしまっています。二大政党のひとつに所属し、政権交代を求める国民の声に応えるために選挙を戦い、議席を得た比例選出議員でした。自分達の良識はどこに!!
党代表と仲が悪いから新党をつくるなんてダダっ子です。今回の騒動は、昨年の参議院選挙の敗北から自民党幹部が仕掛けてきた民主党切り崩し工作の一端です。自民党は政権を守るためには「何でもアリ」を行ってきた行動履歴から明らかです。かつては日の丸反対の日本社会党との連立政権を誕生させるなど政権の利権を一番判っている政党です。だからこそ理念なき政治家を味方につけるなんてカンタンです。日銀人事や道路整備特定財源をめぐり、ことごとく民主党の方針に反対させ、与党寄りの発言、行動をとらせる工作活動はミエミエ。これでは小沢代表のみならず、民主党内からも冷たい目を向けられることは当然。彼らの居場所がなくなり、離党することはまさに確信犯の行動で時間の問題でした。
いま、自民党政権の延命に加担することになる民主党を離党する彼らの行為は、まさに国民への裏切りであり、背信行為です。政党活動の知識もなく、5人で3億円を超える政党助成金を手にすることを目論みながら、完全に失敗しました。しかしそもそもこの政党助成金が個人の政治活動にも回すことが可能な仕組みがおかしいのです。新党に参加する他の議員もそれぞれの事情があり、志ある行動とは違うよう。政党助成金がもらえなくなった彼らの落胆記者会見はお笑いコントのようでした。良識の参議院を語るのではなく、参議院不要論にはずみをつける行動です。議員の議席を守るために様々なパフォーマンスを繰り広げ、議員としての品格を守れないような参議院議員はいりません。
参議院比例代表で当選した議員の政党間移動には規制がありますが、新党については自由です。「民主党」に投票して頂いた有権者の声を無視して「反民主党」になることは理解できません。だからこそまず渡辺、大江両氏は議員辞職をしてから新党を設立するのがスジです。政党助成金目当てに新党を画策し、姫井議員の撤回で政党助成金をもらえない会派になってしまったドタバタ劇を演じる国会議員が、国民の信頼など集まるはずがありません。民主党からいきなり自公政権寄りのスタンスを取るなんて、政治家の神経を疑います。民主党ブランドで当選した参議院議員が反民主党になるなんて、まるで政党偽装ではないでしょうか。いますぐ議員を辞職してから新たに志ある政治をつくるために起ち上がることが大義ある政治家として国民の大きな支持を得ると思います。
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